こんにちは!河合歯科医院の河合です。
前回は歯周病の原因と対策について、単純な歯石除去だけでは不十分であるとのお話をしました。
病気の原因は歯石だけでなく、日々形成されるバイオフィルム※であるため
習慣的に適切な歯みがきを行い、食生活習慣を改善してバイオフィルムを定着させない。(セルフケアといいます)
(※細菌が長期停滞することにより生じるぬるぬるしたもの)
さらに定期的な専門的なクリーニングで歯石とバイオフィルムを除去する。
これらを習慣化することで歯周病は(ついでに虫歯も)安定化・予防ができるでしょう。
歯石除去と聞いて、受けたことがある方からこんな声を聴くことがあります。
「ガリガリ音がして血まみれになった。」
これはルートプレーニングという治療です。当院ではいろいろな理由からこれを推奨してはいません。
現在使用している超音波を用いた歯石除去は痛みを伴いにくいものになっています。
血だらけになるというのは程度問題ですが、よほど重症化しているもの以外は歯みがきのやり方を改善し、同時並行で邪魔になる歯石を除去すれば血は出なくなってきます。
歯石除去だけでは不十分。
と重ねて言いたいのは歯科衛生士が歯周病の管理を行うとき一番重要視しているのが「歯茎からの出血」だからです。
(歯みがきした時の、ではありません)
いろいろな作用によりバイオフィルムに反応した歯茎が出血します。
逆に言えばバイオフィルムが定着していなければ出血しないということです。
喫煙の有無などがあり一概には言えませんが、
歯石が付いていても出血していなければ安定しているとみなします。
歯周病は予防ができるといいました。
ただし絶対に、ではありません。
今回は追加で歯周病が定期的に管理していても悪化してしまう要素についてご説明します。
当院の歯科衛生士の備忘録も兼ねていますので、少し専門的な内容になりますが重要なポイントなので患者様にも知っておいていただきたいと思います。
★リスク要素①楔状骨欠損
歯周病は結果として歯を支えている骨が溶けてしまう病気ですが歯の周りに深い穴を作るように溶けてしまう部位は、クリーニングとセルフケアだけでは治りにくいです。(分かりにくいのでイラスト追加予定)
★リスク要因②根分岐部病変
歯の根っこは歯によって本数が違うことをご存じでしょうか。
2本以上根がある場合、根の分岐点が歯周病になってしまうと非常に治りにくくなります。
上記2項目については、ご自身のお口の中にそんな部位があればかなり注意して治療法を選択する必要があります。
早い話がこの2つの要素と早い進行を示すものは歯周外科の対象となる場合があります。
歯周外科については詳しい話は割愛しますが、いろいろな意味でかなり限定的で、できる方は限られています。
歯周病は重症化すると治療がかなり複雑になります。
大切なのは今歯石を取りたいと思っている方が情報としてご自身の健康状態を把握されているかどうかです。
歯周病のことについて少し掘り下げてみましたが、いかがでしたでしょうか。
分かりにくい文章になってしまってすみません。
患者さんにお話を伺うと、ご自身の受けている治療について十分ご理解されている方は非常に少ないと実感しています。
「よく分からないのでお任せします」とおっしゃる方が多いですが、医療全般においてあまり受け身で良いとは思えません。
実は今受けている治療には、得られるメリットの裏にデメリットやリスクがあるとしたら?
煩わしいことかもしれませんが担当医の説明をよく聞き理解したうえで、自分で考え治療法を選択することが大切であると私たちは考えています。
今回は以上です。それではまた!