こんにちは!河合歯科医院です。
今回のテーマは「虫歯になりやすい人はいるのか」です。
「私は昔から虫歯になりやすくて困っています」とよく伺います。
生まれつき〜と言うニュアンスが含まれている気がしますが
果たして本当に虫歯になりやすい人とそうでない人がいるのでしょうか。
結論から言うと虫歯になりやすい人はいます。
ただしここで注意が必要なのは遺伝などの要因と、口腔内環境や生活習慣などの衛生要因は分けて考えないといけないと言うことです。
生まれつき虫歯になりやすいのか、虫歯になりやすい生活環境なのか。
まず虫歯の発生は①歯②細菌叢③食物④時間の4つの要因が満たされた場合に発生します。
口腔内の細菌感染で問題になるのは歯周病とむし歯であることはご存知かと思いますが、
2つの病原体である細菌は自分の遺伝子にマッチングしたものが住みつき細菌叢を作ります。
虫歯の病原体の比率が高ければ虫歯になりやすい。と言うものです。
例えば、重度の歯周病の方には虫歯が少ない方が比較的多い印象があります。
(細菌の絶対量が多ければ虫歯も歯周病も同時に発症することがあります。)
歯周病の細菌の比率が高ければ逆に虫歯の細菌は少なくなる、ということです。
興味深いことに、歯周病の治療が進み歯周病の細菌が少なくなれば、歯肉の下がった歯の根っこの面に虫歯が発生するケースがあります。
特に中〜高齢の方で歯周病を指摘され、頑張って歯みがきをするようになったが、歯間ブラシを全くできていないと状況によっては歯と歯の間に虫歯を作ってしまうことになるでしょう。
結局はやはり遺伝なのか、と言う話ではありません。
細菌の他に食物(細菌のエサ)と時間(停滞し続ける環境)が問題となります。
細菌が少なくても虫歯の細菌の好む間食が多く、歯磨きができていないと発症するということです。
例えば常に仕事中はデスクに甘い飲み物があり、忙しくて夜しか歯を磨かないとか。
虫歯は(歯周病も)こういった生活習慣の積み重ねにより年単位の経過で発症します。
簡単に言えば不適切な歯みがきの回数・やり方、不規則な間食、栄養の偏り、睡眠不足、ストレス等です。
年に1〜2回歯科医院でクリーニングを受けているから大丈夫、というわけではないこともお分かりかと思います。
クリーニングを受けても生活習慣に上記のような問題があれば細菌叢は3日後には元通りになるからです。
虫歯になりやすい方は確かにいます。ただその体質を変えるためにできることもあります。
大切なことは以下の二点です。
①ご自身の虫歯になりやすい原因は何かを知る。
②食生活習慣を規則正しくし、ご自身に合った歯磨きの習慣を継続する。
最近では予防していくことが主流になり、実は私たちも歯をいっぱい削って銀歯を入れることには抵抗があります。
そういった意味で、皆様が歯科医院を「歯を修理する場所」ではなく「削らずに済むように予防する場所」として活用していただければ嬉しいです。
今回は以上です。それではまた!